株立ちのクヌギ
大きなクヌギの木が、根本で二つに分かれていて、こういう生え方を株立ちといいます。木って自然にこうなるんだな、と思うかもしれませんが、とんでもない。これは人がこのような形にしたのです。もともとは1本で生えていたクヌギの木を、途中で根本で切り、薪に使ったのでしょう。そうすると、切り株から新芽がたくさん出てくるので(萌芽更新)、そのうち2本を残して、他を切ってしまったのです。この木の場合、それぞれの太さが根本で直径40~50㎝あるので、おそらく萌芽更新から30~50年ぐらいたっていると思います。木を切ったのも人間なら、たくさんの萌芽から2本を残したのも人間。自然のままに見える景色も、人間と自然のかかわりについての知識があれば、これは人工的な景色なんだということがわかるのです。ちなみに、萌芽更新によって生えた芽は、根がしっかりしているので、成長が早く、20~30年で太くなり、十分次の薪(まき)にすることができます。ここまで太くなってしまうと、薪にするには割りにくいし、切り倒したあとも、次の萌芽が出にくくなります。あまり成長させずに、若いうちに利用していくことで、森は若々しく、生長力がある状態に保たれるのです。
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