15年戦争の、論点(3) ~日米開戦決断の是非

(3)日本は対中戦の最中に、対米戦までも決意した。その判断は適切だったのか。

1930年代を通じて、日米はぎくしゃくした点はあったにしても、日本は米国から石油と鉄鋼の大半を輸入し、それに頼って軍備も拡張している状況でした。

日本海軍は確かに当時の軍としては大きなものだったにしても、ワシントン条約で規定された海軍備は英国:米国:日本=5:5:3ということからもわかるとおり、仮に米国と戦争になれば原理的には5:3の比率で戦うことになる状況でした。「日本海軍は米国と戦うようにはつくられていません」と山本五十六も開戦を拒んでいます。

そもそも日本には、中国と米国、ふたつの戦争を同時に戦う国力があったのか。そして戦う国力があるという判断は妥当だったのか。開戦にあたって、戦争終結のシナリオはあったのか。

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15年戦争の、論点(2) ~1930年代の日米関係

(2)1930年代の日米関係は戦争への必然を含んでいたのか?

Xさんは当時の日米関係について、悪化していたと言っていますが、悪化していることと、実際に開戦を容認することとは、大きな隔たりがあります。当時の米国は、モンロー宣言が生きている時代で、南北アメリカ大陸での孤立、それ以外との不干渉を掲げていました。1933年に就任したフランクリン・ルーズベルトは、一貫して米国大陸外への軍の派遣を否定しているし、憲法も含めて、そのような戦争を認める規定はなかったのです。

確かに、ブロック経済化によって日本は打撃を受けるわけですが、貿易摩擦を相手国との戦争で解決しようという判断は、飛躍が大きすぎ、合理的とは言えません。

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15年戦争の、論点(1) ~対中国戦略

(1)日本は満州事変、日中戦争の戦略をどのように立てたのか。戦争の出口を用意していたのか?

このイシューは、これまでのところあまり出てきていないのですが、1931年、日本は併合した朝鮮の国境線を越えて、満州に進出し、満州国を建国します。さらに1937年になると、日本は中国と交戦状態になり、全面戦争に入ります。ただし、日本と中国が互いに宣戦布告しておらず戦争状態といえるのかという点については議論があるようですが、まあそういうことは置いておきましょう。7月の盧溝橋事件を発端に、12月の首都南京陥落までの半年に、日本は中国戦線を一気に拡大するわけですが、そもそもこの戦争について、日本は何のために戦争を始め、どこで終わらせようとしていたのかを考える必要があると思っています。結果的に、日本はこの戦争を終わらせるために、対米戦を開始すると考えられるわけですが、そもそもこの戦争を戦略的に開始できなかったところに、大きな問題があったのではないかというのが、僕が指摘したい点です。

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15年戦争、開戦判断の是非のイシュー

靖国と消防士という記事へのコメントでXさんと議論が続いています。コメントが長くなってきたので、新しい記事を立てます。

Xさん、実に詳しいですね。僕は詳細な史実をひとつひとつ覚えるというアプローチをしていないので、反論のほうも、ひとつひとつ確認していく形はとりません。

それと、イシューが細部に入り込んでいるので、もう一度確認したいと思います。

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靖国神社参拝問題~A級戦犯を巡って

グロービスの代表、堀さんが、ブログで、中国人の友人と「靖国神社参拝問題」について徹底的に議論した、という記事を書いていました。まだ続きの段階なので、続編が楽しみです。

で、もともと僕が、堀さんのブログにコメントしたことに対する意趣返しという部分もあるかなと思っています。

さて、今回書いてみたいのは、靖国神社問題の核心であるA級戦犯合祀問題です。まず最初に考えなければならないのは、日本の政教分離規定です。

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考えるイシュー(2):これからの夏休みの過ごし方

「先見力強化ノート」「考え方のつくり方」を読んでくれたみなさん、あるいは、読んでいなくても、関心があるみなさんへ。先見力や価値観を付けるための練習問題(2)です。

「これから」の夏休みの過ごし方

夏本番、今週、来週、あたりはお休みという人も多いと思います。休暇の長さも、以前と比べればずいぶん長くなって、9連休がとれる人も多いかもしれません。短い方は、怒っちゃうかもしれませんね、すいませんm(_ _)m。 「先見力」の観点では、「これからの日本人の休暇の過ごし方は、どんな変化が起きてくるか」というイシューになるでしょうか。 「考え方(価値観)」では、「休暇について、どんな価値を見いだすのがよいか」というイシューになるかもしれません。 それぞれ、自分なりのイシューを設定してから、考えたことをコメントで書き込んでみてください。

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軸をもって情報をとる

シュウさんが、コメントで「歴史軸、世界軸、未来の萌芽、先を見る人の意見という枠組みで考えるということ、とても参考になりました。そこで改めて思ったのは、ファクトをしっかり集められる力が必要だなということです。」と書いてくれたのですが、その点についてもう少し詳しく。

確かに情報をとる力は重要なのですが、本当に必要な情報をスピーディにとるためには、自分の側に今ほしい情報について、視点というか、切り口というか、イシューをもっておくことがとても重要です。というより、イシュー(問題意識)をもっていないと、情報はいったん自分に入っても素通りしてしまい、使いこなせないのです。

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読者のみなさんへ

「考え方のつくり方」「先見力強化ノート」の読者のみなさん、こんにちは。

読んでいただいての感想もおまちしています。こちらにコメントして書いてもらってもよいし、僕あて直メールでもかまいません。

いろいろ思うとこともあると思いますので、ぜひ聞かせてください。

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考えるイシュー(1):住まいは賃貸か、購入か

「先見力強化ノート」「考え方のつくり方」を読んでくれたみなさん、あるいは、読んでいなくても、関心があるみなさんへ。先見力や価値観を付けるための練習問題(1)です。

住まいは、賃貸と購入、どっちがよいか?

今の時代、買うことがいいとは一概には言えません。あなたはどっちの考え?
考え方のアプローチについては、本を参考にするか、こちらの記事にもあるので、読んでから取り組んでください。あなたなりの答えは、下の「コメント」をクリックして。僕の方からもコメントを返します。

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先見力/価値観 の練習課題の、考え方

先見力や自分の価値観を高めるために、こんな点について考えてみよう、という例題になるイシューを提示しています。うまくできなくてもいいので、気軽に、自分なりに考えてみてください。

アプローチの方法は、次のふたつ。

◆「先見力強化ノート」の読者の方は……
(1)縦軸(歴史軸)、(2)横軸(世界軸)、(3)未来の萌芽、(4)先を見る人の意見の4点を検討して、「きっとこうなる」を考えてください。

◆「考え方のつくり方」の読者の方は……
イシューに対する対立軸(賛否)を発見し、そのふたつの意見の分岐点を探し出した上で、自分の考えを明確にします。

自分の考えを「コメント」機能で書き込んでみてください。可能な限り僕もコメントを付けます。また、相互にコメントし合うのもよいですね。盛り上がるようなら、専用の掲示板を用意します。

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