自然再生に向けた総合計画作成へ 環境など3省
環境、国土交通、農林水産の3省が合同で環境配慮型の行動計画を立てて実行する、とのこと。よく読むと「5全総」などという言葉も見えるので、旧建設省が盛んにつくっていた全国総合開発計画(要するに土建屋さんによる開発)の、リニュアル番田ということがわかります。21世紀らしく、横の連携をつくり、環境や健康というようなキーワードを加えて耳にやさしくしつつ、そして予算が付かない環境省としては、金回りのいい省から一部を環境予算に回してもらいつつ、という省の利害をめぐる考えがすけすけの計画ですね。
結局、公共事業で食えなくなった土建屋さんに、環境面での仕事(森の管理や山の再生)をやってもらいましょうという感じではあり、長野県の田中知事のいう「ダムをやめて、山を守る」の国バージョン、ということになりそうです。
とはいえ、行政の意図はともかく、中身を見ると、悪くないコンセプトに見えるし、特に国立公園など国が管理している自然だけでなく、里山といった言葉も見えるのがうれしいところ。里山の管理に予算を、と思うけれど、それ以前に、法制度をなんとかしてくれないかのう。六兼屋のとなりに荒れつつある雑木林があっても、私有地では手が出せない。一定の条件の下で、管理作業の許可を出せるようにしてくれるとよいのだけれど。
そういえば、環境省が募集していた、政策提言に出せばよかったなあ、こういうタイミングで思い出してしまうのが悪い癖だ。
▼asahi.comより
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自然再生に向けた総合計画作成へ 環境など3省
2005年09月06日08時03分
各地の国立公園などの周辺地域で生物の生態にあった自然再生に向けた総合計画づくりを、環境、国土交通、農林水産の3省が来年度から始める。動物専用の道をつくったり、森林を再生させたりなどが想定されている。希少生物を増加させるとともに、環境配慮型の公共事業を進める狙い。08年度にも具体的な計画をまとめる。
まとまった自然環境が残されている28国立公園と55国定公園を核とし、周辺の自然を再生させて「緑の国土軸」を形成し、全国に張り巡らせる。
3省は来年度、地域に固有のクマやタカ、シカなど指標になる動物を決め、どのように分布や数が減っていったかの履歴を調べる。そのうえで、開発や過疎による環境破壊や自然喪失が生態に与えた影響を分析し、保護や管理のための自然再生事業に乗り出す。
例えば、青森県・下北半島では、78年の動物分布調査で半島つけ根部分でも確認されたツキノワグマが、03年の調査では、半島先端部に押し込められる形で孤立化していた。道路で生息域が分断されたり、人工林の影響でクマのエサとなる木の実が減ったことなどが原因とみられる。
そこで、クマの通り道として、緑の動物専用道を整備したり、人工林をスギなどからブナ、ナラなど広葉樹に植え替えたりなどで、下北半島国定公園から、公園の周辺地域にあたる半島つけ根部分でも生息域の再生を図る。青森、秋田、岩手各県にまたがる十和田八幡平国立公園とを結んだ地域に生息域を広げることも考えられるという。
東北地方を広範囲に移動する希少種のイヌワシの場合は、過疎化による里山の荒廃や農林業の停滞も一因となって生息域が限られたことから、個体ごとの競合が起きている。森林再生や里山整備で、多くの個体が行動できる圏域を確保する。
計画の実施を通じ、環境省は生態系の保全、国交省は河川や道路の整備、農水省は農地の活性化や森林整備につなげたい考え。開発型の公共事業への批判が高まる中、「点」でとどまっている各省の自然再生型公共事業を面的に拡大する狙いもある。
今回の計画は、98年に閣議決定された全国総合開発計画(5全総)に盛られた環境配慮の考え方に沿った。「生物多様性の確保という視点も含め、望ましい国土構造を支える自然のネットワークの重視」と挙げ、「環境全総」への視点を示していた。62年に初めて策定された全総は、開発優先と批判を浴び、5全総を最後に廃止された。
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