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考えるイシュー(1):住まいは賃貸か、購入か

「先見力強化ノート」「考え方のつくり方」を読んでくれたみなさん、あるいは、読んでいなくても、関心があるみなさんへ。先見力や価値観を付けるための練習問題(1)です。

住まいは、賃貸と購入、どっちがよいか?

今の時代、買うことがいいとは一概には言えません。あなたはどっちの考え?
考え方のアプローチについては、本を参考にするか、こちらの記事にもあるので、読んでから取り組んでください。あなたなりの答えは、下の「コメント」をクリックして。僕の方からもコメントを返します。

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Comments

それでは1番くぼっち、行きます。

1.過去の経緯

列島改造論以降、地方に財を分配するために公共工事と地方交付税が促進された。これにより、公共工事と地方交付税に依存するとはいえ、比較的安定的な収入が保証されたので、地方都市でも安心して住宅を購入できた。

一方首都圏の人間は公共工事や地方交付税の恩恵はないが、所得倍増計画によって多摩ニュータウンなどの新興住宅地造成、首都圏公立学校の新設などによって住環境が整備され、かつ時流に乗った高度経済成長により所得が増加した。首都圏に住民が流入し、土地は払底、土地は買えば必ず上がる手堅い資産として認識され、住宅を購入することは合理的投資と判断された。そして1960年代から始まる日本経済の発展により、いつか家は購入するもの、終の棲家を持ってこそ一人前、という暗黙の前提が作られていった。

2.現在の状況

首都圏において土地神話を保証して来た経済成長は、1990年初頭のバブル崩壊を機に急速に鈍化した。土地価格は暴落、国内経済の鈍化と同時に給与も削減、従業員の大量解雇も常態化した。2005年に入り、景気は一服感を増したものの、1960年代からの高度経済成長に並ぶGDP成長は望めなくなっている。

一方地方においても、長らく安定収入を保証して来た公共事業と地方交付税の見直しが進んでいる。700兆円を越す財政赤字を解消すべく、政府は「小さな政府」を志向し、公共事業の削減と地方財源の移管を打ち出す。長らく公共工事と地方交付税の恩恵に慣れた地方自治体は、自力で経済復興するだけの力がなく、東京、愛知、大阪、福岡といった限られた経済圏以外は軒並み財政赤字に苦しんでいる。

3.未来の予測

首都圏における大きな動きは、2007年から本格化する団塊世代の大量離職が上げられる。700万人に迫る大量の人間が流動し始め、都会を離れ地方に帰る動きと、不便な郊外住宅を離れ首都圏のマンションに引っ越す動きが同時に発生する。また地方においては、先の公共事業縮小と地方財源譲渡によって、自立できなくなった地方自治体から大量の労働者が首都圏に流入して来る。また2011年から国債大量償還期に差し掛かり、国家財政破綻が心配されている。一端債務超過となれば、経済はIMF統治下に置かれ、景気は急落、株価や為替も暴落し、国内資本は外資に搾取されかねない。

4.購入/賃貸の判断

住宅を購入する人の論拠で一番多いのは「月々家賃を払うより、自分の資産になるのだから購入した方が得」というものと推察する。しかしそれは本当だろうか。長期ローンで住宅を購入した場合と、賃貸で済ました場合の総投資額はほとんど大差ないという試算結果が多くのシンクタンクから出ており、住宅購入の積極的な理由にはならない。そこで、ここでは①住宅購入後の値下がりリスクと、②金利上昇に伴うローン返済額上昇リスクについて考える。

①住宅や土地の上昇メカニズムを考えると、単純に言えば需要が増えれば価格が上がり、需要が減れば価格が下がる。今後を予測すると、首都圏に立てられた(及び建設途中の)高層マンションは、大量供給のため需要が追いつかず価格が下落する。団塊の世代は子育ても終わり、郊外の一戸建てから都内のマンションへ住み替えが進んでも、夫婦で住める小振りの部屋でよく、ファミリータイプは必要ない。もし将来、地方から大量の労働者が都市部に流入して来ても、それに見合う雇用はなく、住宅購入余力不足から住宅取得は進まない。加えて住宅ローン減税も2005年より控除額が縮小されるので、住宅取得意欲に水を差す。以上から、住宅購入後の価格は値下がりする可能性が依然として高い。

②住宅ローンの金利上昇リスクについては、住宅金融公庫が長期貸出金利を3.0%に引き上げたことから、民間金融機関も追随する可能性が高い。またすべての貸出金利の指標となる10年物長期国債利回りも、政府は2011年からの国債大量償還に備え、更なる国債発行によって原資を調達する構えであり、国債を大量発行のために市場価格を下げ、結果長期国債利回りが上昇する可能性が高い。国債利回りの上昇は銀行貸出金利を押し上げるので、この面でも住宅ローン金利が上昇するリスクがある。

一方、住宅を賃貸する人の論拠としては「住宅価格は下がるだろうし、収入も減る可能性が高いので、いつでも引っ越せる賃貸にしておきたい」というリスクヘッジ的理由が強い。ここでは、賃貸の場合の③家賃を支払い続けるリスクと、④老後は住宅を借りにくいリスクについて考える。

③40歳のサラリーマンが、80歳まで賃貸住宅に住み続ける場合を想定すると、あと40年家賃を支払い続ける必要がある。実際には、退職後から収入が減るので今から20年間で残り20年分の貯蓄も必要となる。月額10万円の賃貸に20年間住もうとすれば2400万円の貯蓄が必要。40歳の男性が今後20年間で、賃貸料金を支払いながら2400万円の貯蓄をするのは難しい話ではない(養育費、教育費、医療費、生活費の負担については今回除外)。もし貯蓄額が少なくなる見通しの場合、最悪家賃の安い物件に借り変えられるという最大のメリットがある。これで家賃を支払い続けるリスクをヘッジできる。

④老後は確かに賃貸住宅を借りにくいというデメリットが存在する。しかし高齢化を迎える日本において、高齢者居住の対策は不完全ながら着々と進められており、低価格の公団住宅や、永住型の老人ホーム、高齢者住宅整備資金貸付制度などの施策が試みられている。しかし高齢化した際の健康への心配や配偶者の介護、収入の低下といった問題は典型的なリスク(変動要素)であり、疑う余地なく存在する。この場合、残り20年間でどれだけの貯蓄を残せるかによってリスクが変動するだろう。

以上から、住宅購入の場合、①住宅取得価格から資産価値が目減りするリスクは高い、②住宅ローンの金利が上昇するリスクも高いため、自己の返済能力を勘案して、決して無理な返済計画を立てない必要がある。最悪の場合、債務超過に陥り借金を抱えたまま住宅を手放すことになりかねない。

また賃貸継続の場合、③老後まで賃貸料金を支払い続ける覚悟が必要で、引退までに相当額の貯蓄が必要となり、④自身が高齢化した際に賃貸を永続できない様々なリスクを想定して、やはり現在蓄財に努める必要がある。

ちなみに私は賃貸派です。今の時代、自分の所得変動をコントロールするのは難しく、35年以上の長期ローンという負債を抱えるのは大きなリスクだと考えます。特に私は2011年の国家破綻を警戒しており、長期見通しが立つまで固定資産を持つのは危険だと考えています。その点、賃貸ならコストを変動費化できるので、自分の収入に合わせて支出をコントロールできます。賃貸を選択した場合、働けるうちにどれだけ貯蓄したかで勝負が決まるので、無駄金は極力使わず、利殖についても随分勉強しています。もちろん、ダブルインカムにする、子供を持たない、親の資産(住宅)を受け継ぐなど、個別の要素は抜きです。

Posted by: くぼっち | July 26, 2005 at 07:24

実に鋭い分析と結論ですね。僕も基本的に同じように考えています。

特に、高齢者になって賃貸住宅が借りられるかというリスクについて考えている点がすばらしい。これは重大な問題であると同時に、現状、たとえば75歳以上の高齢者がどのぐらい賃貸住宅(特に民間)に住み、どんな問題を抱えているか、といった情報がほとんどない点も気になります。

などと考えてみると、ここにビジネスチャンスがあることもわかりますね。高齢者が安心して住める、しかも普及型の賃貸住宅があれば、今後需要が伸びる可能性が高い。

もうひとつは、収入のコントロールが難しいという前提に立っているので、これを解決できれば、結論が変わってくるかもしれない、ということ。このあたりは、「好きなことでお金を稼ぐ」というライフデザインの話になってきますが、今の時代、ひとつの企業だけに依存した収入というのが一番のリスクかもしれません。

さらにもう1点、地方都市であれば、状況がまた違う可能性があるということ。購入してもわりと安いので、東京で頭金を稼ぎ、地方に移住して購入し、自立して収入を得る道を探るというのが、ひとつのモデルプランとして想定できそうです。

地方都市は、自分で何かを始められる人には、けっこうよい環境なんですよ。

Posted by: paco | July 27, 2005 at 02:26

はじめまして!
「知恵市場」と「先見力強化ノート」を拝見して、お邪魔しました。
村山と申します。

くぼっちさんのコメント、鋭いご指摘で大変勉強になりました。

私も「賃貸派」で、今も賃借しているのですが、住宅購入のリスクについて、次の事柄も付け加えられるかと思います。いかがでしょうか?

⑤地震・火災等の天災のリスク
住宅を購入してしまうと、天災による家屋損壊のリスクを抱えることになります。もちろん、保険をかけるという予防方法はありますが、保険の適用範囲にも限度があるでしょうし(勉強不足でよく分かっていませんが・・・)、保険料もコストとして考えなければいけなくなります。

⑥居住移転の自由が奪われるリスク
ライフステージのや人的・物理的な環境が変化しても、購入した家から離れづらくなります。先が見えない時代になって来ており、どのような環境変化が今後起こるのか予測しにくい状況の中で、将来の変化に柔軟に対応しにくい選択肢を取るのはリスクだと思います。

Posted by: 村山 | July 29, 2005 at 00:12

村山さん、こんにちは、コメントありがとうございます。

(5)天災のリスクというのは、確かにありますね、損害保険は全額でないのふつうだし。ただ、賃貸でも生活基盤の家を失うリスクはあるし、持ち家のほうが救済措置は厚いかもしれません。

(6)の転居の自由も久保さんのコメントには確かに入っていなかったようです。ここで重要なことは、購入しても、資金(資産)に余裕があれば、損を覚悟で売って転居するということもできますから、考え方としては経済的な問題の一部として考えることもできるかもしれません。

他に見つかったら、また書き込んでください。他の方の参加もおまちしています。

Posted by: paco | August 01, 2005 at 20:55

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