トヨタ,ハイブリッドを高級車にも搭載
トヨタはついにハイブリッドシステムを主力商品にするつもりです。
初代プリウスの発表からたった8年。トヨタが見つけた水脈は、本当に豊富な水量を誇るものだったのですね。
ただ、忘れてならないのは、プリウス開発に際して、トヨタは徹底的に自前の技術にこだわったという点。モーターやバッテリー、制御ソフトウェアなど、主要技術のほぼすべてを自前でつくった。特にモーターを内製するストーリーは感動的ですらあります。
開発段階では、モーターメーカーに協力を依頼し、外注も考えたのですが、プリウスに必要なスペックのモーターをつくっているところが少なく、あっても高価。これなら自分たちでつくれば絶対安くつくれる!とかくしんする。と、確信してしまうところがすごいですね、分野は違っても、モノづくりのプロとして、これならつくれると判断する力量がすごい。でも、こういう見切りは、どの分野でもプロの誇りがあればできることなのだと思います。
で、価格に加えてもうひとつのネックが生産性。モーターはコイルを巻く工程が必要なので、どうしても手間がかかる。そこで、コイルを巻く機械からつくって、モーター専用の生産ラインをつくってしまう。発売当初のプリウスでも月産1000台規模は想定していたので、それだけの量産ができる企業が、(プリウスに必要な性能を出せる)モーター専業メーカーではなかった(たぶんニーズがなかった)のですね。トヨタは自前で工場を造り、自分たちに日宇ような生産性を確保して、かつコストダウンを果たしてしまうわけです。
制御技術についてもすさまじい開発のツメをしていて、超ベテランのテストドライバーが、ふつうのクルマとしてプリウスを評価し、少しでもぎくしゃくするところは容赦なく開発者にフィードバックして特性をリファインしてきた。ハイブリッドだから特別視することなく、普通の人が乗るふつうのクルマとして使えるように、徹底的に煮詰めを行っていくわけです。このあたり、ほんとにすさまじい。
※参考文献は左のブックリンクに
それでも、「21世紀に必要なクルマをゼロから作る」ことに徹底してこだわった役員の意図が、プリウスを完成させるわけですが、実際にそうやってつくったハイブリッドが、時代の追い風を受けて高く上がっていくのを見ると、傍目で見ている僕も、なんとも気持ちがいい。
トヨタの環境経営をいろいろ言う人もいるし、問題がないわけではないけれど、そもそも問題を抱えていない人間が存在しないのと同じで、企業も同じです。少しでもよいと思う方向ににきちんと向かおうとするトヨタの意志は、たぶん本物です。
ハイブリッドを高級車にも搭載 トヨタ、来年から
asahi.comより
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トヨタ自動車は06年から、国内外で高級ハイブリッド車市場に本格参入する。今年8月に国内に導入する新ブランド「レクサス」で扱う最高級車LS(現在の日本名はセルシオ)などの全車種に順次投入する方針。環境への配慮を前面に押し出すことで、競合するメルセデス・ベンツやBMWなどの高級車との差別化を図り、関心の高い欧米市場での攻勢を強める。
レクサスは89年に北米で始めた高級ブランド。06年前半に米国で販売予定の高級セダンGS(同アリスト)のハイブリッド車を同時発売するのを皮切りに、IS(同アルテッツァ)のハイブリッド仕様車を同年中にも発売する予定。LSやレクサスでの販売を検討するES(同ウィンダム)にも同年に予定するモデルチェンジにあわせて搭載をめざす。
トヨタは国内のハイブリッド車市場の大半を押さえているが、これまではプリウスなど小型車やミニバンが中心だった。高級車市場は景気の回復も手伝って競争が激化しており、得意の技術を生かして「環境保全に積極的に取り組む姿勢を鮮明にする」(幹部)ことで、高級車ユーザーにアピールする狙いがある。
また、海外ではハイブリッドシステムへの関心がより高く、04年の世界での販売台数は13万5000台と、前年の2.5倍に伸びており、同システムを搭載した高級スポーツタイプ多目的車(SUV)「レクサスRX」(日本名ハリアー)は、受注に生産が追いつかない状態。トヨタは08年にはグループ全体で、米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜いて世界1位となる970万台の生産を目標に掲げている。これに弾みをつける意味でも、ハイブリッド高級車をテコに、環境問題への関心が高い欧米市場でのシェア拡大を目指す。
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