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君が代斉唱、声量まで行政が管理する時代

卒業式などで、学校教職員が君が代斉唱を行うよう、国が求めていて、従わなかった人を処分するということになったわけですが、今度は、歌うだけではなく、声量も管理するという話。

「響き渡るような声で」歌っているかどうかをチェックして報告、というこのニュース、みなさんどう思いますか?

国歌なんだし、歌ったっていいじゃない、という考えもあるし、実際、うちの娘なんか、式で歌うようになった最近まで、君が代の存在も、まして歌詞やメロディも知らない、ということになっていて、学校でやらないということとはこういうことなんだな、と思うわけです。僕らが子どもこのころのほうがずっとあたりまえに君が代は歌われていて、それが、その後の30年ぐらいですっかり歌われなくなったことがわかります。

理由はやはり「君が代」に込められた「若者を戦争に駆り立てられた記憶」ということになるのでしょう。その「記憶」は本当は僕らの親の世代が強く持っているものだと思うのだけれど、僕らの親の世代が教えていた、つまり僕らが小学生のころの先生は、実は君が代を子どもたちに歌わせていたことになります。その後、君が代が歌われなくなったということは、僕らの親の代、つまり昭和ヒトケタで戦中の記憶がある世代ではなく、そのあとの戦後生まれ、団塊世代の教師が辞めさせたということを意味します。昭和ヒトケタ以前の世代が、戦争に対して無反省に過ぎる、ことへの反動かもしれません。

そういう流れからすると、今改めて国旗・国歌を主張しているのは一体どの人たちなのかということが気になるのですが、どんな人たちが何の目的でこの動きを積極的に進めているのでしょう? 石原東京都知事はこのコンセプトの提唱者ですが、彼は1932年生まれの昭和ヒトケタですから、「無反省な戦中派」ということになるのでしょうか。今現役最年長の世代で、生きているうちの最後の遺言、ということになるのでしょうか。誰が、というのが気になります。

もちろん、国旗国歌を重視することについては、幅広い世代の指示があることはたぶん間違いないと思います。僕も、国旗国歌を尊重すること自体に反対するつもりはありません。問題は、国歌が個人の信条に踏み込み、歌わせる、大きな声で歌わせる、従わなければ罰するという動きが、「違うんじゃないの?」と思うわけです。

日の丸と君が代は、それに代わる国旗国歌の候補がないことから、使うこと自体は納得感があると思うのですが、とはいえ「若者を戦争に追い込んだ記憶」があることも事実で、それが「信条によって歌わない」という行動につながっているわけです。だとしたら、その信条に対してきちんと説明する、二度とそのようなことがないように担保する、といった行動が、国の側に求められるというか、それがまともな態度だと思えます。まあ、多くの君が代支持者は「分からず屋に何を言ってもしょうがない、罰すればいいだけ」というでしょうが、分からず屋だからといって対話や説明を拒否していけば、社会に深い断層が生まれていくことになります。分からず屋もまた国家の一員であり、みなの隣人なのであって、犯罪者ではありません。というより、分からず屋を犯罪者に仕立てていく社会をよしとして、いいのでしょうか。それは、「政治犯がたくさん生まれる社会」です。

君が代を歌わないから、政治的なチラシをマンションの通路に入り込んでまいたから、そういう人を罪人にしていく社会は、政治犯を生み出していく恐怖政治の社会です。どうやって社会のダイバーシティ(多様性)を確保していくか、注意深くあらねばならないと思います。

というより、僕のようなはみ出しモノ的人間は、こういう社会になっていくと、とっても生きにくいので、いやなんです。


君が代の声量、広島県教委が報告求める 日の丸不起立も 
asahi.comより
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 今春の卒業式、入学式での「日の丸」掲揚と「君が代」斉唱について、広島県教育委員会が県内の公立学校長に対し、斉唱の際の声の大きさや不起立だった児童・生徒、教職員の概数を報告するよう求める通知文書を出していたことが明らかになった。県教委はこの報告に基づいて起立しなかった教職員らを処分したという。

 県教委によると、通知文書は1月、県立高校や公立小中学校など約1000校の校長に出された。「国旗・国歌実施状況」「教職員の服務状況」「教職員への対応記録」について、式後1週間以内の提出を指示している。

 「君が代」については「式場内に響き渡る歌声であった」「響き渡るとはいえないが、歌声は十分聞こえた」「歌っているとはいえない歌声であった」の三つから選択。不起立の教職員や児童・生徒の概数も記入することとされた。

 「服務状況」では、従わなかった教職員の名前のほか、学校側がどう対応したかを時系列で詳細に記すよう求めた。

 さらに、通知文書には「留意事項」も添付し、式終了後までの校長の行動を27項目にわたって記載。校長が職務命令として「国歌斉唱の際には起立してください」と職員会議などで複数回発言する▽起立しなかった教職員にはその場に駆け寄り、「起立してください」と周囲にも聞こえるように発言する――などを求めた。

 県教委は98年、「日の丸」掲揚や「君が代」斉唱の実施率の低さなどから旧文部省の指導を受け、翌年2月に県教育長が県立学校長に掲揚と斉唱を義務づける職務命令を出した。教職員の処分が始まった01年の卒業・入学式では延べ301人が戒告、文書訓告を受けた。昨年は10人、今春の卒業式では11人が処分を受けている。

 県教委指導1課の二見吉康課長は「式で校長が混乱しないよう以前から通知している。学習指導要領にのっとった通知と考えている」と話す。

 卒業式、入学式での「君が代」斉唱をめぐっては、福岡県久留米市教委が04年、児童・生徒が歌う声量を大、中、小の3段階で小中学校の校長に評価させる調査を実施。しかし、「目標は達成された」などとして今春は取りやめた。

 また、東京都町田市教委は昨年末、児童・生徒が校歌などと同じ音量で歌うよう事前に指導することを定めた通知を市内約60の小中学校長に送付したが、当日の声の大小の報告までは求めていない。


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