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中山文科相、ゆとり教育を謝罪、だって

pacolog!でも知恵市場コミトンでもたびたび取り上げている「ゆとり教育」問題。今度は文科大臣が中学生に謝罪、だって。

本人は「よくないと思ったことはきちんと反省する」とか思っているのだろうけれど、実態は「ろくに努力もしなかったからうまくいかなかったのに、それをごまかすためにカッコをつけていい人ぶりっこしている」ということです。

総合学習が機能していないのは、教師の努力不足と、文科省の指導力不足が原因です。きちんと指導をしている学校は子どもたちの評価も高いし、親が見ても成長がはっきりわかるほど、説明する力、調べる力、グループワークの力などが育っています。総合学習でどんな力を育てるのか、という点についてのコンセンサスがあいまいで、それをすべて文科省が現場に任せきりにしたことが大きな問題で、総合学習そのもののねらいが違っていたわけではありません。

しかも、総合学習が本格的にはじまってまだ2年、試行錯誤の段階で(文科省も思考錯誤の時期があることを想定していた)、成果がはっきり見えなくて当然の時期に、成果が出ていないと批判し、それを謝罪する。こういうおとなの行動こそ問題で、それを後ろに隠して謝罪するという姿勢は、大臣としてまったくあり得ない行動です。長年積み重ねてきた教育改革の議論を、1年でひっくり返して、「保守反動の巻き返しに成功」とにやりとしているのでしょうが、困るのは謝られた中学生で、彼らが本当に問題の所在に気がつくのは、あと10年先になるでしょう。

読み書きの道具としてのパソコンが生活の道具としてあたりまえになる時代の中で、計算力や漢字や古典の暗記といった基礎学力に力を入れることに何の意味があるのか? たとえば僕が教えている論理思考の研修で文章を手書きで書いてもらうと、かなりの人数が携帯電話を取り出し、携帯で変換して確認しながら書いています。おとなのほうが、さっさと漢字を「書く」ことを忘れているのですから、子どもに無理に教える必要などないのです。

「基礎がないと総合学習もできない」というような詭弁に惑わされないように。総合学習に必要な基礎は、今の教科書でも十分です。たとえば公約数や公倍数の意味を理解するのに、大きすぎたり、複雑すぎる数の公約数を求めさせても、時間ばかりかかる割に、公約数の意味は理解できません。今の教科書は、シンプルで、答えを求めるには時間がかからないけれど、意味がわかる例をうまく使っています(たとえば、24と36の公約数)。問題なのは、このシンプルで質のいい教科書を、通りいっぺん教えるだけで、数の持つ意味を深められない教師の側です。あるいは、そこを指導せよと提示しない文科省の側でしょう(最大公約数は2×2×3で、このかけ算の組み合わせで全公約数が出てくる、など)。このあたりの数の意味合いは、NHK教育TVで小学校2年生向けにやっていた「マテマティカ」という番組が非常によくできていました。番組の司会は数学者のピーター・フランクルです。

「学校の外で学んでいる」と中学生が言っていますが、それのどこが問題なのか? 水槽のような学校の中で、エラ呼吸しながら勉強しても、あとで役に立つ学びなどできないことは、おとな世代の僕ら自身が何より知っているはずです。

中山文科相:ゆとり教育は「反省すべき」と中学生に謝罪
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 中山成彬・文部科学相は21日、水戸市の茨城大学付属中学校での「スクールミーティング」で、ゆとり教育について「授業時間を減らしたことは反省すべきだと思う」などと中学生に謝罪した。

 中学生からは「学校は勉強する所なのに、総合的な学習の時間のせいで、学校外で勉強するなど逆転現象が起きている」などと厳しい質問が相次いだ。中山文科相は「ゆとり教育の見直しで教科書のページ数も元に戻りつつある。(薄い教科書の)皆さんには申し訳なく思う」と答えた。

 さらに「総合的な学習の時間は、人間力のある子を育てるために導入されたが、全般的な検証を始めたところだ」などと述べた。

 一方、同日に訪れた茨城大付属小学校では、教諭から「総合学習の時間は必要だ。子供が荒れる原因は偏った学力による」などとゆとり教育の維持を訴える意見が相次いだ。これに対し、中山文科相は「総合的な学習の時間は労力や蓄積がないと取り組めない。『こんなことなら基本教科を増やした方がいい』という声も上がっている」と述べた。【高野聡、土屋渓】

毎日新聞 2005年4月22日 0時03分

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