六ヶ所村再処理工場稼働→とんでもない愚行
ついに六ヶ所村の再処理工場が動き出します。これはとんでもない愚行になる可能性があります。税金の無駄遣いになりかねない。再処理工場は厳密に言えば「国家予算」ではないけれど、税金もゼロではないし、結局は電気料金などとして負担がのしかかってきます。
この再処理工場は、総工費数千億円の予算で始めたのに、すでに3超円高のカネが投入されているということで、これも主に、最終的には東電が負担しています(日本原燃という再処理工場の会社に対する債務保証)。
再処理工場は、フランス、イギリスで稼働中ですが、イギリスはすでにほぼ休止状態、フランスも休止がほぼ決まっていて、ドイツはすでに廃止。米国はもともと「使用済み核燃料はそのまま砂漠に埋める」方針なので、再処理はしていない。
欧州の再処理工場は、いずれも事故が多発し、運転してもみ合わないと見ているようです。フランスの工場は、原爆や水爆製造の技術を手元に置くという意味合いで、運転しているのでは、というのが環境専門家の見方です。
再処理工程は強酸(硝酸など)の中で行われるので、強酸水を入れておくプールを何でつくっても、すぐに腐食し、漏れてしまう。当然、漏れた強酸水は強い放射能に汚染されている。これが再処理工場がしょっちゅう事故を起こして停止する原因です。
とかとか、ざっくり解説すると、山中ねえさんが細かい修正を指摘してくれそうなんですが、よろしく、かな。
以下、産経新聞の記事。
原燃、ウラン試験を開始 使用済み核燃料再処理 六ケ所村(12/22)
http://www.sankei.co.jp/eco/
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日本原燃は21日、青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場で、放射性物質の劣化ウランを使用したウラン試験(稼働試験)を開始した。旧通産省(現経産省)の再処理コスト試算隠しや関西電力美浜原発の死傷事故などで何度も延期を余儀なくされていたが、年内スタートにこぎつけた。試験は約1年間の予定。その後、原子力発電所の使用済み燃料を使った総合試験を行い、18年7月の本格操業を目指す。
原発の使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出す再処理事業は、国の核燃料サイクル政策の根幹をなしており、実現に向けて一歩を踏み出した。
原燃は平成13年から、空気や水を使った「通水作動試験」、硝酸などの化学物質を使った「化学試験」を実施し、工場内の機器の不具合を確認するなど作業員の技術向上を図ってきた。ウラン試験は放射性物質を使用する点で、新たな領域に踏み込む。
使用する劣化ウランは、実際の使用済み燃料に比べて放射能レベルが極めて低く、試験中に不具合が生じても「作業員が近づいて対処することが可能」(原燃)という。しかし、一度使用されると配管などが放射能で汚染され、解体が困難になるとの指摘もある。
また、使用済み燃料の貯蔵プールで不良溶接が原因の水漏れを起こしたり、今年に入って国側で核燃料サイクル政策の見直し論が浮上するなどし、安全協定の協議が難航。このため13回もの計画変更を余儀なくされた。
■核燃料再処理工場 原発の使用済み核燃料から、再利用のためウランとプルトニウムを取り出す工場で、電力会社などが出資する日本原燃が青森県六ケ所村に立地。設備はほぼ完成したが、ウラン試験の結果を基に、必要な手直し作業を検討する。年間800トンの使用済み核燃料を処理する計画で、核燃料サイクルの中核施設となる。
2004/12/21(産経新聞夕刊)
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一方、ハーバード大で核燃料問題を研究するマシュー・バン同大上席研究員がこ
の件について今年4月にインタービューに応えていたのは
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http://www.asyura2.com/0403/genpatu2/msg/167.html
「いったん放射性物質を使った試験をすると、施設の廃棄コストは跳ね上がる。現段階で日本にとって最善なのは、取り戻せない巨費の新規発生を防いだうえで、あらゆる選択肢を温存することだ。再処理工場は、いざとなれば数年で稼働できる現状を維持する一方、使用済み核燃料の乾式貯蔵施設を用意する。数十年は結論を出さずに貯蔵し、最終処分と再処理の双方の研究を続け、技術やコスト、政治情勢をみて判断すればいい」
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とのこと。
多くの専門家は、この再処理工場がまともに稼働するとは考えていません。いったん放射能に汚染されると、工場を修理するのも廃棄するのも、コストが跳ね上がる。とんでもない負担が、最後は日本国民のもとにやってきます。この決断の意味を、よく記憶しておく必要があります。
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